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外来森田療法

森田正馬自身は、神経症の治療を外来でも行っていました。
しかし、その方法は、入院森田療法のように定式化されなかったために、
現在では、治療者によって相当異なる方法になっているようです。

 まず、森田の主著である「神経質の本態と療法」の中にある彼自身の外来治療例をあげてみましょう。
  「本例は、私の大学の恩師、某先生の夫人で、四、五年前から、心悸亢進発作に悩まされていたものである。
発作は多く夜間に起こって、その時は不安のために横臥することができない。座位をとってふとんによりかかり、
ようやく苦痛の去るのを待つとのことである。一度発作が起これば、多くは三日あるいは五日間、
同様の発作がつづいて起こるのである。私は一度診察してすぐ、私のいう発作性神経症であることを知った・・・」

 このように、患者さんは今で言う不安神経症、またはパニック障害の人です。
森田は、この患者さんを往診し、「今夜寝るときに、発作がもっとも起こりやすいという横臥位をとり、
自分から進んで、その発作を起こし、しかもその位置のままに苦痛を忍耐し、かつその発作の起こり方から、
全経過を熱心に詳細に観察するようにして下さい。そうすれば私は、あなたの体験によって、
将来けっして発作の起こらない方法をお教えする・・・」と伝えました。
 その結果、患者さんは、森田に言われたとおりに実行しようとしましたが、かえって発作は起こらず、
そのまま寝入ってしまいました。そして、また今までのような発作があると思うか、との森田の問いに、
「自分でなぜか説明することはできませんけれども、今までのような不安がまったくなくなったから、
将来ふたたび起こることはないと信じます。」と答えています。

 森田はこれを患者が、一晩中発作の苦痛を覚悟したことによる「煩悶即解脱」であり、
発作を起こそうとして、そのまま発作から解脱すると述べています。
そしてこれは体得であって、理論や思想ではなく、理論や思想をもってこれを行おうとすれば、
思想の矛盾になってしまい、治療効果がないことも解説しています。

 このように、患者さんが自分の不安に対して、逃げたり避けたりせずに、
その不安になりきる状況が外来でつくられれば、通院でも森田療法は可能となります。
外来森田療法をやっている医師の考え方によって、さまざまな方法があります。
実例として、私が外来でやっている方法を述べてみますが、これが定式化されたものというわけではありません。
 まず、私のクリニックでは、外来の森田療法を大きく2つにわけています。
一つは森田療法的精神療法であり、もう一つは外来標準型森田療法です。

以下に表にしてこの2つの方法の特徴をあげておきます。

  森田療法的精神療法 外来標準型森田療法
治療面接回数 事前に設定せず 事前に設定:10回
治療期間 1、2年程度が多い 3〜6ヶ月
面接間隔 1〜2週間に1回 1〜2週間に1回
治療の形式 対話を主とする 行動記録を主とする
治療的危機 生活の中での自然の機会 行動の課題を設定
治療の特徴 中期的、ゆるやか 短期的、積極的